女性ジュエリー作家 WAKAKO GRACEさんの展示会で使用されているディスプレイスタンドです。突然彼女からメールが送られてきて、”こんなディスプレイ台を造ってほしい”という内容のメッセージに、このデザイン画が貼付されていました。イメージはズバリ ”宇宙” です。
彼女自身もどうやってこれを造るのかはイメージされていなかったそうですが、商品が納まる球体部分をどうやってつくるかがポイントなりました。次の画像が出来上がりです。
ご相談をいただいてから2-3日考える時間をいただきました。そして、球体部分は金属の薄板を立体的な球状へと加工することのできる”ヘラ絞り”という技法で可能ではないかと考えて、大阪のヘラ絞り職人さんに協力を要請しました。真鍮や銅をはじめとしたいろいろな材料がある中で、展示会場への持ち運びを考えると、なるべく軽い材質を選んだほうがよいだろうと考え、比重の軽いアルミ材を選択しました。
商品をカバーする透明ドームについては、つきあいのあるアクリル加工工場に相談しましたが、オリジナルでは型代がかかるということで、直径100㎜のアクリル製ドームの在庫品を採用することにしました。この直径100㎜のアクリルドームと、アルミ製のヘラ絞りカップのはめ込みについては、幾度となくヘラ絞り職人さんと打ち合わせを重ね、試行錯誤をかさねた結果、作家のイメージどおり綺麗に仕上げることができました。
飾りのついた脚も金属で作ろうとすると重くなり、初期費用もかかるだろうと判断して木工での製作を考えました。こちらもつきあいのある木工職人さんの技によってカタチにすることができました。
大阪では手加工でしかできない仕事をするいろいろな職人さんと出会うことができます。この案件は、大阪の職人さんたちの協力がなければ、イメージどおりにカタチにすることは不可能だったろうと思います。
イメージをつくる作家やデザイナーと、材料と向き合ってそれをカタチにすることができる職人技を、上手にマッチさせることも私たちの仕事です。当社では一見関係がなさそうに見える技術でも、ものづくりの技術と現場をなるだけ観にでかけることを社員に奨励しています。日頃からモノづくりの勘を身体に染み込ませておくことが、仕事の質をあげる鍛錬だと思い取り組んでいます。