老舗の造酒屋様がこだわりぬいて造った銘酒のなかで、さらに限定されたプレミアム品質のものを、限られたお客様だけに販売することになったので、それを収納するのにふさわしい箱を造ってほしいとのご相談内容です。当社のパートナーである木工所とのコラボでこの仕事を担当させていただきました。
銘酒用の木箱にはサテン生地が使われることが多いのですが、サテン生地でも材質や風合いさまざまな質のものがあります。今回はかなりグレードの高い銘酒だとお聞きしたので、コストの制限を意識しながら、光沢の落ち着いた、柔らかな風合いのものを選定してご提案しました。また輸送時にビンが破損するようなリスクを避けるために、内側にはウレタン材を仕込んで、木箱の中でビンが固定されるよう設計しています。
今回の木箱はしっかりと塗装が施されることになっていたので、ほぼ問題はありませんでしたが、木の箱の場合、木は呼吸するので1ミリ以下のレベルとはいえ、内装部品とのマッチングにはそれを見越した設計が必要になります。
お酒用のギフト箱に関してはよくご相談いただくことがあり、それぞれの銘酒を産むことになる地域の風土や歴史に関する話を聞かせていただくのは、とても興味深く楽しい時間になります。商品が産まれるまでのストーリをお聞きして、一端でもそのプロジェクトのお手伝いができることは、多くの仕事のなかでもご褒美仕事のように感じており、職業上の役得だと感じています。みなさまの商品のストーリを聞かせていただけるのを楽しみにしています。