先日、あるラーメンチェーン店に入ったときの話です。新人バイト男子くん(おそらく高校生か大学生ぐらい)が、先輩女子バイトさんにトレーニングを受ける風景に出くわしました。その子はヤマシタくんといって(名札にそう書いてある)、見た目はとてもマジメそうだけど、いかにも自信がなさそうで、見ているとちょっと心配になるぐらい不安そうな面持ちで、声も小さくて、“その5倍ぐらいの大きい声で!”なんて指導を、先輩女子から受けているところでした。半ばしごかれているようにも見えるその光景が、自分にはどこかほほえましく感じられました。みなさんもおなじでしたよね?笑 自分も30年ほど前、大学に入学したばかりで、慣れない東京生活と同時に始めたバイト先ではダメダメのスタッフでした。だから、心の中で、“誰もがそこから始まる、だから心配しなくていい、ガンバレ!”とヤマシタくんを心の中で励ましたのでした。
三栄ケースにも、高校新卒で入社して24歳になる今に至るまで、この会社でがんばってくれている久保くんという若いスタッフがいます。久保くんはここに来るまでは正直、すごく手のかかるほうでした。自社の社員のことなのでひいき目かもしれませんが、彼は機転の利く賢さもあるし、色や素材、形状を評価できるという、モノづくりの仕事が必要とするある種のセンスも持っています。なによりヤマシタくんと同じように真面目で、まっすぐな性質です。ただやはり、年齢的に圧倒的に経験が足りていないところがあり、彼がもつ数々の長所は、今後もう少し経験と知識が蓄積されたとき、十二分に発揮されるのだろうと感じています。
若いスタッフへの悩みや問題はどんな職場にも共通するものだと思いますが、これを問題とするのなら、その責任の半分以上は、会社の在り方やその風土に帰するというのが、自分の考え方です。人にはみんな特性と長所が必ずあります。一生懸命で前向きな若者が、最適な行動や判断をできないのは、圧倒的に経験の不足が原因であり、その機会を適切に与え、失敗もつうじて実体験を積んでもらうことが大切です。その間、辛抱強く彼らをサポートできる体制であること、そのような体制に到達して、それを維持するというのが会社の責任だと、私はそのように考えています。
この9月からは、20代の女性スタッフがあらたに新メンバーとして加わってくれました。久保くんと同じく渉外を担当してくれる予定です。色・質感・形状、そして流行やかわいさといった抽象的で感覚的要素を必要とするパッケージ企画の仕事は、男女の性別を問わず、センスと知識、好奇心が求められる仕事ですから、活躍に期待していますし、発揮してもらえる環境を、会社として整えていくつもりです。
パッケージの業界、とくにジュエリーパッケージの業界はこれまで、中年の男性が中心になって物事を動かしていることの多い業界でした。これからは、性別を問わず、若いひとたちが活躍できる業界に変わっていくべきだと思います。悩み、失敗する場面も多々あるでしょうが、彼らの奮闘を懐深く見守っていける会社でありたいと、気持ちをあらたにしているところです。
2022.11.29