ある製品を買ったとき付属についていた箱です。なんの変哲もない、ただの組立箱に目が留まりました。この板紙の質感がちょっと日本ではなかなかお目にかかれないものだったからです。
これは中国かベトナムで作られた箱で、素材もその国のものでしょう。日本の板紙なら、たとえ再生紙でも、もっとツルっとキレイに仕上がっています。この板紙には、すこし荒っぽいワイルドな雰囲気、日本のサンプル帳ではあまりお目にかかれない、いい意味でのレトロさを感じます。いま取り組んでいる新しい企画で、アンティークな雰囲気のジュエリーケースをデザインしていますが、その外箱を作るのにこの紙の雰囲気がフィットしそうです。
日本ではいろいろな紙が手に入るので、適した雰囲気のものが見つかるだろうと思っていましたが、結局見つけられていません。日本製の紙は、どの紙もツルリとしていてキレイに整いすぎてるんですね。
アジアの国々では、古紙の分別がおおざっぱで雑なので、再生紙をつくる設備は最新のものを使っていても、おのずとその質に差が生じるものだと、中国や韓国、台湾などで板紙を探している過程で気づきました。再生古紙の表情ひとつとっても、その国の習慣や価値観が反映されているという気づきは、自分のなかでも面白かったです。
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質的に劣っているという固定観念のあった海外の再生古紙が、今回の企画にこんなにぴったりくるとは自分でも意外でした。品質的に均一でキチンとしていることだけが価値かというと、必ずしもそうでもないことは、欧州のブランド製品を手に取れば理解できることでもあります。固定観念で”観た気になる”のではなく、いつも新鮮な目でモノを観て、触れて、感じられるようにしたいと思いなおした次第です。