植毛(フロッキング・プリント)ケースは弊社の原点ともいえる商品です。フサフサとしたリッチでスムーズな手触りのジュエリーケースがよくありますが、ベルベットなどの生地で包んでつくっているものと、箱の筐体に直接毛が植わっているものとに大別できます。前者は”包み貼りケース (covering case)”と呼ばれ、直接繊維を筐体に直接植えるように定着させたケースが”植毛ケース (フロッキング・ケース)”です。
”ジュエリーケースは鉄板製の筐体に手作業でベルベット生地を包んでできているが、自動車の内装で使われている静電植毛加工をケースづくりに利用できれば、手作業でわざわざ包まなくとも、製造を自動化できるのでは”という点に、1960年代ごろに私の祖父が着眼したことから始まります。
静電植毛加工は長さ1㎜以下、またはそれ前後の微細な繊維の粉(パイル)に、電圧をかけて帯電させ、プラスの電気を帯びた短繊維が、今度はマイナス極に吸い付いていく流れのなかに、加工したいモノを流して接着固定するという技法です。
加工技法の詳細はここでは省きますが、植毛ケースの自動生産化が確立している弊社では、わが社の植毛ケースの特長を下記のようにご紹介することができます。
・高級感を直感的に伝えるフサフサとしてスムーズな手触りとリッチな開閉感
・手間のかかる加飾工程が自動化され生産コストが安い (とくに大きなロットで)
・曲線のついた3D立体物のフォルムをそのまま表現できる
・弊社では型をある程度揃っていて、それらを利用すれば金型製作の時間とコストを省ける
・加工後の仕上げ工程に手間をかけており、中国製品のようにパイルが剥落しない
植毛ケースRSシリーズ
https://san-ei-case.com/stock/standard/rs/
中国で作られる粗悪品などは、パイルの剥落がひどく、それが植毛ケース全体の評価に繋がっている向きもあり、私としては歯がゆい想いがあります。弊社の植毛ケースもパイルの剥落がまったくないわけではありませんが、お客様の売り場で問題になったことはなく、ゼロに近いレベルという表現が妥当でしょう。
インドネシアで自動生産化していることもあり、植毛ケースのコストはロットによっては紙箱に匹敵することができます。バネ式の丁番がついていて高級感のある開閉感がありますので、さりげなく高級感を演出するためのパッケージとして選択肢に加えていただけると考えています。